ホームパーティーでの鉄板料理

パーティー飯

友人を自宅に招くことが増えたのは、30代に入ってからだった。
外で飲むのも好きだけど、家で飲むのにはまた違ったよさがある。
時間を気にせず、リラックスした空気で話せるのがいい。
音楽もグラスも照明も、自分で選んだもので整えられる。
そういう空気の設計ができるのが、自宅でのホームパーティーの魅力だと思っている。

最初は慣れなかったけど、何度かやってみるうちに、準備や段取りのコツも掴めてきた。
買い出しのタイミング、飲み物の温度、皿を出す順番。
細かいことだけど、ちょっと気を配るだけで、来た人の居心地は全然変わる。

そして、その中でも一番気を使っているのが料理だ。
凝りすぎても空回りするし、手を抜きすぎると味気ない。
僕の場合、あれこれ試した結果、いちばん信頼している鉄板料理がある。

ワインにもビールにも合う、ラムチョップのグリル

僕がホームパーティーでよく作るのは、ラムチョップのグリル。
骨付きのラムをシンプルに焼いただけ。
だけどこの料理、見た目のインパクトもあるし、手間のわりに完成度が高い。

下ごしらえのコツは、前の晩にニンニク・ローズマリー・オリーブオイルでマリネしておくこと。
これだけで、当日は焼くだけで香りが立つし、肉もやわらかく仕上がる。
火加減もそんなに難しくない。フライパンでもいけるけど、僕は魚焼きグリルでじっくり火を入れるのが好みだ。

付け合わせは、ミニトマトのマリネか、ちょっとスパイスを効かせたクスクス。
気取らずに、でもひと工夫は忘れない。
それくらいのテンションで料理を出すと、場もなごむ気がする。

初めて来た友人にも、ラムはちょっと特別感があるらしく好評だ。
牛や鶏ほど定番じゃない分、いい意味でのサプライズになる。
準備に手間はかけすぎず、でも手抜きに見えない。
そういう「ちょうどいい感じ」を出してくれるのが、この料理の一番の強みかもしれない。

料理は「場づくり」のひとつだと思っている

もちろん、料理が主役じゃなくてもいいと思う。
でも、おいしいものがあるってだけで、人は安心する。
ちゃんと迎え入れてもらってる感じがするし、場がふっとほぐれる。

たとえば、初対面同士の会が少しぎこちないときでも、料理を囲むだけで自然に話が生まれることがある。
この味付けって何使ってるの?とか、ラムってどこで買ってる?とか。
そういう、なんてことのないやりとりが、場の空気をほどいてくれる。

僕にとって、料理はコミュニケーションツールに近い。
ただ出すんじゃなくて、その場のテンションに合わせて温度やタイミングを調整する。
飲み物が切れそうなときに、そっと注ぎ足すのと同じ感覚だ。

派手な料理じゃなくてもいい。
むしろ、ちょっと控えめで、誰かの会話を邪魔しないような料理が理想かもしれない。
料理が完璧でも、空気がかたかったら台無しだし。
料理も空間も会話も、全部つながっていると思う。

鉄板料理って、味以上に信頼感のある存在なんだと思う。
失敗しない自信があるから、安心して場に集中できる。
それって結局、おもてなしにおいて一番大事なことなのかもしれない。