朝に15分の余白をつくるだけで、1日が整うようになった

コーヒー

朝の時間がずっと苦手だった。
起きて、顔を洗って、着替えて、朝食を流し込んで、
電車に飛び乗るまでの間は、毎日が短距離走みたいだった。

もちろん、それで仕事に遅れたことはないし、
なんとなくのルーティンはできていた。
でもいつからか、そのルーティンに追われる感覚があった。
とにかく間に合うように動く。それだけで精一杯だった。

特別な理由があったわけじゃないけど、ある日ふと、
朝からこんなに焦ってる自分を、なんとなくやめたくなった。
それで試しに、起きる時間を15分だけ早めてみた。

たった15分。
でも、それが想像以上に効いた。

何をするかより、何をしないかを選ぶ

15分早く起きるようになって、最初にしたことは、
「何かをする」ことではなく、「何もしない時間を確保する」ことだった。

まずスマホを見ない。
SNSも、ニュースも、メールも開かない。
ただ窓を開けて、空気を入れ替えて、
キッチンでお湯を沸かす音をぼんやり聞いている。

コーヒーを淹れる時間が、ちょっとだけ丁寧になる。
豆を挽くときの香り、カップに注ぐときの手の動き、
そういう何気ないことに意識が向くと、
自分がちゃんと「いま」にいる感覚がする。

朝の時間って、誰のためでもなく、自分のために使う時間なんだと気づいた。
それまでは「仕事の準備」としてしか存在していなかったものが、
「自分を整える時間」に変わっただけで、1日のスタートが穏やかになった。

急がなくてもいい時間があると、気持ちに余白ができる

早起きが得意なわけじゃない。
正直、いまもアラームを5回セットしてる。スヌーズつきで。
でも、不思議と前より起きやすくなった。

それは、朝の時間に「いいこと」があると知ってしまったからだと思う。
ただ静かにコーヒーを飲んで、
少しだけ本を読んで、
窓の外を眺めながら、今日の予定をゆっくり思い出す。

それだけで、出かける頃には不思議と心の準備ができている。
同じタスクがある日でも、焦らなくなる。
余白があると、急がなくてもよくなる。

朝の時間を見直したことで、夜の過ごし方も少し変わった。
夜更かしを控えるようになったし、
お酒の量も自然と減った。
明日の朝を、また気持ちよく迎えたいと思えるようになったからかもしれない。

暮らしを整えるって、予定を詰めることじゃなかった

スケジュールを管理したり、効率よく動くことは嫌いじゃない。
でもそれだけじゃ、暮らしって整わない。
どれだけ計画を立てても、心がせかせかしていたら、
何をしていても落ち着かない時間になる。

15分の余白は、小さな「逃げ道」みたいなものだった。
詰め込みすぎた日常に、静かに呼吸できる場所をひとつつくる。
その程度のことで、驚くほど気持ちが変わることがある。

朝に少しだけ時間をあけるようになってから、
自分の暮らしのペースを、自分で選べている感覚が生まれた。
それはたぶん、僕が思っていたよりずっと、大事なことだった。