入鹿TOKYOのラーメンで贅沢ランチ

ラーメン

入鹿TOKYOの名前は、だいぶ前から知っていた。
ラーメン好きの友人が、あそこは一度行っておくべきだと何度も言っていて、SNSでもちょくちょく見かけていた。
ただ、人気店らしくいつも行列だという噂だったので、タイミングをつかめないまま過ぎていた。

その日は、午前で仕事を切り上げて、午後は休み。
用事は済ませたし、天気もよくて、こんな日こそチャンス!と思いそのまま六本木に向かった。

到着したのは13時過ぎ。
平日だったけど、10人くらいの行列ができていた。
ラーメンで並ぶのは久しぶりだったけど、今日は時間がある。
ひさびさに「並ぶランチ」も悪くないかもしれないと思いながら、列の最後尾に加わった。

店に入るまでにだいたい1時間。
思っていたより並んだけど、不思議と嫌な感じはしなかった。

一杯のラーメンに詰められた、丁寧な仕事

カウンター中心の店内は清潔感があって、照明も落ち着いている。
いわゆるラーメン屋の熱気はあるけど不思議と整った空気が流れていた気がする。
メニューを見て、思い切って「特製ポルチーニ醤油ラーメン」を注文。

だいたい5分くらいでラーメンがきた。
着丼してまず思ったのは、なんかラーメンじゃないみたいだな、ということ。
器の中がとにかくきれいで、盛りつけに余裕がある。
チャーシュー、団子、味玉、ポルチーニのペーストまで、どれも存在感があるのに散らかっていない。

スープをひと口。
すごくまろやかで、想像してたよりずっとやさしい味だった。
醤油なのに角がなくて、じわっと旨味が広がってくる。
飲み進めるうちに、ちょっとずつ香りが変わっていく感じも面白かった。

麺はつるっとしてて、柔らかめのもちもち食感。
ちゃんとコシはあるけど、主張しすぎてなくて、スープとのバランスがいい。

具材も、どれもそれぞれ印象があった。
特に鶏胸のチャーシューが、ちょっと柚子っぽい香りがして爽やかだったのが記憶に残ってる。
途中でポルチーニのペーストを溶かすと、スープの印象ががらっと変わる。
香りが一気に濃くなって、ちょっとだけ驚いた。
正直、僕にはちょっと強すぎるかなとも思ったけど、こういう「味変」の楽しさがあるのは贅沢だなと思う。

並ぶ価値はあるか?と聞かれたら、素直にうなずける

食べ終わったあとの感覚は、いわゆるラーメンの満腹感とは違っていた。
満たされた、というより、いい食事をしたという落ち着きがあった。
ラーメンを食べて「体験だった」と思うのは、正直あまりない。

行列のハードルが高いのは事実だけど、
この一杯に対して、並んでよかったと思える理由がちゃんとある。
ただ美味しいだけじゃなくて、記憶に残る時間だった。

入鹿TOKYO。
またすぐに来ることはないかもしれないけれど、
ふとしたときに思い出して、誰かを連れて行きたくなる。
そんな店だった。